人物、出来事の「歴」が後世において想起されることで、
時間と空間を超えて立ち上がってくる「象」をえがく「歴象篇」。
神話と文明、古代中国からイスラーム、近代国家の成立までの世界軸と、
倭国や日本神話から明治維新、太平洋戦争と戦後までの日本軸の
2つの軸による歴史セレクション。
−−−−−−−−−− 神話と歴史と国家を繋ぐ
世のはじめの世界マザーとびっこの神による中華の誕生と伝説をひもとき、
ブッダ、孔子、老子、キリスト、ムハンマドといった思想家たちの冒険をめぐる。
西と東をつないだネットワーカーの活躍からマイノリティの負の歴史までを収録し、
世界の古代から近代までの流れを一気通観する。
−−−−−−−−−− 倭と日本と国民を念う
原日本とはなんなのか、神話から民俗学、日本人の系譜、まつろわぬ者たちまで
多様な視点から母国日本のあしあとを辿る。公家と武家、天皇と将軍、幕末と明治、
戦前と戦後。日本という方法とともに、おもかげとうつろいの国ニッポンの
プロフィールをめぐる。
父の社会の前には母の社会があった。世のはじめには暴力と欲望が隠されていた。
神話世界の秘密を解き明かす、バハオーフェン『母権制』、ルネ・ジラール
『世のはじめから隠されていたこと』、フロイト『モーセと一神教』から、
宗教のルーツを辿る『ミトラス教』『ゾロアスター教』まで。
歴史のアーキタイプはここから始まる。
背景画像:アスキーアート+ロックアート
中国文明史のルーツはいったいどこにあるのだろうか。中国的な「母国」の
伝承と事実のアソシエーションを辿りながら、禹に始まった幻の夏王朝の謎、
辺境の確立による中華の成立に迫っていく。日本のルーツのルーツともいえる
長江文明の起源にも潜入する、古代中国のディープヒストリー。
No | 著者 | 書名 | ? |
---|---|---|---|
331 夜 | 徐朝龍 | 長江文明の発見 | |
812 夜 | 小南一郎 | 西王母と七夕伝承 | |
1450 夜 | 宮本一夫 | 神話から歴史へ | |
1451 夜 | 岡村秀典 | 夏王朝 | |
1452 夜 | 古賀登 | 四川と長江文明 |
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キリスト教が近代社会モデルを生み出した。旧約聖書からピューリタニズムに
いたるまで、現代の問題を検証するには避けて通れないキリスト教共同体の
世界を通観する。マリアはいかに換骨奪胎され、変遷してきたのか、伝道者たちは
いかに資本主義を準備したのか、神に対抗する悪魔はなぜ必要だったのか。
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ゴータマ・ブッダの仏教は大乗思想を生み、孔子の儒教は朱子学、陽明学へと
体系化され、老子や荘子のタオイズムは道教となり、それぞれが東洋の思想
として「気」のように混交しながら、東アジアの各地、そして日本に息づいていった。
アジア・マザーズを概観するシリーズ東洋思想。
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ユーラシア大陸の端から端まで、情報と文物と思想を運んだネットワーカーたち。
ときに帝国の領土に進出し、ときに大国と同化し、ときに文明の媒介者となっていった。
アーリア人、西のスキタイ、東の匈奴から、鳩摩羅什やマルコ・ポーロまで。
類と個のノマドロジー・ダイジェスト。
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ヨーロッパがヨーロッパになった時代、それが中世である。
カール・マルテルがトゥール・ポワティエでイスラム軍を破り、カール大帝が
西ローマ皇帝として戴冠したことはヨーロッパの英雄伝説となっていく。
十字軍、ジャンヌダルクなどをめぐり、いまのEU連合のルーツを探る。
No | 著者 | 書名 | ? |
---|---|---|---|
78 夜 | ジュール・ミシュレ | ジャンヌ・ダルク | |
416 夜 | 松谷健二 | 東ゴート興亡史 | |
477 夜 | レジーヌ・ペルヌー | テンプル騎士団 | |
496 夜 | リュック・ヌフォンテーヌ | フリーメーソン | |
573 夜 | トマス・ブルフィンチ | シャルルマーニュ伝説 | |
698 夜 | クリストファー・マッキントッシュ | 薔薇十字団 | |
1590 夜 | ロバート・エヴァンズ | 魔術の帝国 |
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預言者の封印者ムハンマドが創始した最後の一神教。『クルアーン』と『ハディース』
からつくられたイスラム法「シャリーア」をもつ啓典の民の行方とは。
ヒジュラ(聖遷)、ジハード(聖戦)からカリフの君臨、学術・芸術の振興まで。
イブン・ハルドゥーン『歴史序説』、『千夜一夜物語』も収録する。
1400夜 前嶋信次・池田修 訳『アラビアン・ナイト』(全18巻+別巻)
No | 著者 | 書名 | ? |
---|---|---|---|
658 夜 | イブン・バットゥータ | 三大陸周遊記 | |
1396 夜 | ハミルトン・ギブ | イスラーム文明史 | |
1397 夜 | ジョン・エスポジット編 | イスラームの歴史 | |
1398 夜 | 大川玲子 | 図説コーランの世界 | |
1399 夜 | イブン=ハルドゥーン | 歴史序説 | |
1400 夜 | 前嶋信次・池田修[訳] | アラビアン・ナイト | |
1403 夜 | 宮崎正勝 | 世界史の誕生とイスラーム |
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かつては英雄たちの象徴であった欠陥や弱点は、排除され、迫害され、
搾取されるためのスティグマとなった。その対象がたとえばユダヤ人であり、
ジプシーであり、また近代以降の黄禍論の対象となったアジア人でもあった。
目を向けられることの少ない歴史の負と闇を読み解く。
No | 著者 | 書名 | ? |
---|---|---|---|
56 夜 | カルロ・ギンズブルグ | 闇の歴史 | |
224 夜 | ジュール・ブロック | ジプシー | |
372 夜 | コリン・ウィルソン | アウトサイダー | |
566 夜 | パトリック・ブラントリンガー | パンとサーカス | |
693 夜 | ベルント・レック | 歴史のアウトサイダー | |
878 夜 | ロジェ=ポル・ドロワ | 虚無の信仰 | |
1423 夜 | ハインツ・ゴルヴィツァー | 黄禍論とは何か | |
1758 夜 | オルトヴィン・ヘンスラー | アジール |
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フランス革命ののちに、ナポレオンが準備し、産業革命を経て完成した国民国家は、
帝国主義という対外拡張戦略を推し進め、第一次大戦での世界規模の衝突に至る。
一方でネーション・ステートの侵略に対峙したロレンス、ガンジーらの生涯が
国家を対比的に浮き上がらせる。
273夜 カール・フォン・クラウゼヴィッツ『戦争論』(上・中・下)
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倭国と呼ばれた国はいつから日本になったのであろうか。
稲や鉄の伝来からアマテラス、スサノオの神話、天皇の誕生と
物部氏らの謎まで。複層的な視点で原日本の母型を探る。
Roots of Japansの源流をさかのぼるシリーズ。
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柳田國男にはじまる日本民俗学の成立以降、多くの民俗学者たちが、
常民・非常民の記録と記憶をめぐり、古代の風習、風俗や信仰、伝承を
解き明かしてきた。説話に材をとった『桃太郎の母』『浦島太郎の文学史』や
柳田の『海上の道』、宮本常一『忘れられた日本人』を収録する。
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日本人の日記の系譜であるドナルド・キーン『百代の過客』をはじめ、
捏造理論の系譜『偽史冒険世界』や『聖なる女』の系譜から
近代の『反骨の系譜』まで。多様な日本人の系譜を眺めることで、
古代から現代に連なる日本人の姿が結像する。
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王朝びとの文化が生み出したものごとの有為転変を詠嘆するキーコンセプトである
「あはれ」に対し、武士たちは潔く死にゆく者たちの「あはれ」を「あっぱれ」
と名づけた。中世日本の貴族と武家の世のあわいを感じさせる千夜千冊セレクション。
『土佐日記』『愚管抄』『方丈記』など。
No | 著者 | 書名 | ? |
---|---|---|---|
42 夜 | 鴨長明 | 方丈記 | |
63 夜 | 伊藤ていじ | 重源 | |
203 夜 | 保田與重郎 | 後鳥羽院 | |
319 夜 | 頼山陽 | 日本外史 | |
367 夜 | 吉田兼好 | 徒然草 | |
431 夜 | 黒岩涙香 | 小野小町論 | |
512 夜 | 紀貫之 | 土佐日記 | |
624 夜 | 慈円 | 愚管抄 | |
1119 夜 | 永井路子 | 北条政子 |
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古代には海の民による水軍国家が九州にあり、東北の地には『蝦夷』たちがいた。
辺境にひそむ『日本の深層』には、まつろわぬ者たちの歴史があった。
そこには失われた日本の記憶と記録が息づいている。
3・11後のいまこそ、母国を探す旅に出かけたい。
No | 著者 | 書名 | ? |
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109 夜 | 海津一朗 | 神風と悪党の世紀 | |
1157 夜 | 武光誠 | 九州水軍国家の興亡 | |
1415 夜 | 高橋富雄 | 征夷大将軍 | |
1416 夜 | 工藤雅樹 | 平泉藤原氏 | |
1417 夜 | 森崎和江 | 北上幻想 | |
1418 夜 | 梅原猛 | 日本の深層 | |
1419 夜 | 入間田宣夫編 | 平泉・衣川と京・福原 | |
1420 夜 | 小島毅 | 義経の東アジア | |
1559 夜 | 夏目琢史 | アジールの日本史 | |
1588 夜 | 高良倉吉 | 琉球の時代 |
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後醍醐天皇、足利義満、織田信長、豊臣秀吉。南北朝時代から室町、安土桃山まで、
日本の王権簒奪を企図したものたちの系譜を一望する歴史人物シリーズ。
後醍醐が異形の天皇と称される所以は何か?『帝王後醍醐』『室町の王権』
『信長の親衛隊』『秀吉と利休』などを収録。
No | 著者 | 書名 | ? |
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455 夜 | 谷口克広 | 信長の親衛隊 | |
520 夜 | 村井康彦 | 武家文化と同朋衆 | |
934 夜 | 野上弥生子 | 秀吉と利休 | |
1013 夜 | 三浦綾子 | 細川ガラシャ夫人 | |
1038 夜 | 笠谷和比古・黒田慶一 | 秀吉の野望と誤算 | |
1088 夜 | 今谷明 | 室町の王権 | |
1223 夜 | 村松剛 | 帝王後醍醐 | |
1224 夜 | 村井章介編 | 南北朝の動乱 |
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260年つづいた江戸の世には、日本儒学から垂加神道といった
『徳川イデオロギー』や、遊郭や芝居小屋などの『江戸の想像力』、
『葉隠』などの武士道精神を生み出した。江戸の歴史の裏側では
被差別社会の鍵を握った『浅草弾左衛門』が活躍した。
表も裏もあわせた江戸千夜セレクション。
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1853年浦賀に現れたペリー率いる黒船により、日本は大きく揺さぶられる
こととなる。『水戸イデオロギー』が尊皇攘夷を起動させ、吉田松陰の活躍、
西郷隆盛ら薩長土肥の討幕運動から『維新への胎動』『開国』へとつづいていく、
激動の幕末千夜集。
No | 著者 | 書名 | ? |
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553 夜 | 吉田松陰 | 吉田松陰遺文集 | |
581 夜 | 伊部英男 | 開国 | |
864 夜 | 長谷川伸 | 相楽総三とその同志 | |
885 夜 | 徳富蘇峰 | 維新への胎動 | |
896 夜 | 頭山満 | 幕末三舟伝 | |
997 夜 | ヴィクター・コシュマン | 水戸イデオロギー | |
1091 夜 | 藤田覚 | 幕末の天皇 | |
1167 夜 | 西郷隆盛 | 西郷隆盛語録 | |
1196 夜 | 松浦玲 | 横井小楠 | |
1213 夜 | 鹿島茂 | ドーダの近代史 |
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文明開化、殖産興業、富国強兵、神仏分離、廃仏毀釈、国家神道、和魂洋才。
変化を遂げる明治の世で、面影としての日本は急速に失われていく。
『和魂洋才の系譜』『逝きし世の面影』をはじめ、明治女性を主題とした
『あなたみたいな明治の女』『明治女学校の世界』『近代美人伝』ほか多数収録。
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大正から昭和へ、日本人は何を考え、何を行動しようとしたのか。
堺利彦の売文社が動き、「白樺」が創刊され、平塚らいてうが「新しい女性」
に向かい、大逆事件から日本の社会主義が目覚め、新劇や近代歌舞伎が誕生し、
夢二らの少女文化の表現が生まれたモダン時代の足跡をめぐる。
No | 著者 | 書名 | ? |
---|---|---|---|
165 夜 | 金子光晴 | 絶望の精神史 | |
494 夜 | 明田鉄男 | 日本花街史 | |
528 夜 | 荒畑寒村 | 寒村自伝 | |
736 夜 | 大杉栄 | 大杉栄自叙伝 | |
819 夜 | 長谷川如是閑 | 倫敦!倫敦? | |
1475 夜 | 平山亜佐子 | 不良少女伝 | |
1709 夜 | 黒岩比佐子 | パンとペン |
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樽井藤吉の『大東合邦論』、金玉均の三和主義、宮崎滔天の『三十三年の夢』
にはじまる大アジア主義、さらに五族共和の満州国構想は、どこから歪んで
いったのだろうか。『日本の失敗』はいったいどこにあったのか。
太平洋戦争開戦前夜の昭和日本とアジアを解きあかす千夜選。
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1945年8月、広島と長崎に原爆が投下された数日後、切れぎれの玉音放送が流れ、
日本の戦争は終わり、戦後が始まった。戦中と戦後の日本人の精神と行動を回想し、
いまだ解決されない日本の問題の端緒を探る。ブラックマン『東京裁判』、
桶谷秀昭『昭和精神史』などを収録。
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