資本と労働の表裏関係、市場とメディアの両面性、貨幣を交えて価値を成す。

新たな経済システムを考える野心こそ、世界史を動かす原動力となってきた。
交換と欲望をめぐる無限の試行錯誤としてのエコノミクスを探る交貨篇。
今日の資本主義はなぜ行き詰まりを見せているのか、
人類にとっての貨幣とは何を表徴しているのか、
グローバリズムが見落としているものとは何か、
われわれはリスクとオプションをどのように編集していくべきか。
文系の知と理系の知をまたぎ、
洋の東西の思想を超えたメタな視点から来るべき未来像を導く。

ハンガーラックのマネタリズム、東を眺めてキャピタリズムミックスカラーなエコノミクスニッポン峠を宵越して、リンゴもシューズもピカチューも経世済民にディスプレイ

 

交換価値の本来を問う

世界経済の制度化の歴史から、史的システムとしての資本主義の考察まで。
円の誕生、アングロサクソン的発想と基準、グローバリゼーションの起源と
拡張の過程、1985年の大転換などをめぐりつつ、物質文明の細部に入りながら、
マネーシステムの成立と資本主義の形成を振り返る。


1361夜 ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』

ジャレド・ダイアモンドの問題意識は、「現代世界はなぜこんなにも不均衡になったのか」ということにある。

No著者書名?
151 夜 カール・ポランニー経済の文明史
257 夜 三上隆三円の誕生
1262 夜 吉崎達彦1985年
1360 夜 ナヤン・チャンダグローバリゼーション 人類5万年のドラマ
1361 夜 ジャレド・ダイアモンド銃・病原菌・鉄
1362 夜 グレゴリー・クラーク10万年の世界経済史
1363 夜 フェルナン・ブローデル物質文明・経済・資本主義
1364 夜 イマニュエル・ウォーラーステイン史的システムとしての資本主義
1365 夜 ジョヴァンニ・アリギ長い20世紀
1366 夜 渡部亮アングロサクソン・モデルの本質
1367 夜 ニーアル・ファーガソンマネーの進化史
1507 夜 マルセル・モース贈与論
1529 夜 高見玄一郎港の世界史
1572 夜 ジョン・ブロックマン編2000年間で最大の発明は何か
1676 夜 ジェイコブ・ソール帳簿の世界史
1747 夜 松村圭一郎うしろめたさの人類学

 

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客家とヴェニス商人の企望

「神の見えざる手」が支配する市場、それが拡大し形成された
今日の大企業を中心にした市場社会。アナール学派によるマーケットの考古学から
はじまり、オークションの社会史、“偶然”に左右されるカジノ資本主義、
ビル・ゲイツの面接試験まで、生産と消費と売買にかかわる諸テーマを探る。


1338夜 ミルトン・フリードマン『資本主義と自由』

フリードマンをフリードマン主義にしていこうとしたストリームから、あきらかに何かの“鬼”があらわれたのだ。

No著者書名?
639 夜 ジャン・ボードリヤール消費社会の神話と構造
729 夜 ブライアン・リアマウントオークションの社会史
888 夜 ウィリアム・パウンドストーンビル・ゲイツの面接試験
937 夜 岩井克人会社はこれからどうなるのか
1133 夜 ゲルト・ハルダッハ&ユルゲン・シリング市場の書
1336 夜 間宮陽介市場社会の思想史
1337 夜 フリードリヒ・ハイエク市場・知識・自由
1338 夜 ミルトン・フリードマン資本主義と自由
1339 夜 ベノワ・マンデルブロ&リチャード・ハドソン禁断の市場
1344 夜 アマルティア・セン合理的な愚か者
1352 夜 スーザン・ストレンジマッド・マネー

 

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塾と財閥とサロン

読書も文化ならば、企業も文化。コーヒーハウスからはじまった政党ジャーナリズム、
“目利き”による価値の基準が育まれていったヨーロッパと江戸のサロン文化、
巨大な資本力で文化活動の主体を担ってきた財閥まで、
現在の企業モデルが確立される前の”共=コモン”の原像をたどる。


491夜 小林章夫『コーヒー・ハウス』

No著者書名?
271 夜 本田宗一郎俺の考え
474 夜 ヴェレーナ・ハイデン=リンシュヨーロッパのサロン
491 夜 小林章夫コーヒー・ハウス
769 夜 佐野眞一巨怪伝
838 夜 シャルル・フーリエ四運動の理論
1114 夜 福原義春猫と小石とディアギレフ
1129 夜 中村真一郎木村蒹葭堂のサロン
1134 夜 加来耕三日本創業者列伝
1163 夜 出井康博松下政経塾とは何か
1293 夜 ジョン・ミクルスウェイト&エイドリアン・ウールド
リッジ
株式会社
1502 夜 守屋毅・笠井潔・中条省平・高橋秀元ほかクラブとサロン
1547 夜 ノーラン・ブッシュネル&ジーン・ストーンぼくがジョブズに教えたこと
1702 夜 ルネ・シェレール歓待のユートピア ノマドのユートピア

 

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剰余する資本主義

資本主義の限界を乗り越えようとしたマルクス、
欲望と恋愛から資本を捉えたゾンバルト。これらの思想を基調音として、
資本のシステムをめぐる考察は多様に展開する。D∙ベル『資本主義の文化的矛盾』、
P∙ブルデュー『資本主義のハビトゥス』、R∙B∙ライシュ『暴走する資本主義』など、
文化と資本にかかわる代表的著作をひもとく。


1285夜 中谷巌『資本主義はなぜ自壊したのか』

日本自身にもそれぞれの領域の凹凸をつなぎうる相互承認力が必要になっているのはあきらかなのだ。

No著者書名?
281 夜 ハムデンターナー&トロンペナールス七つの資本主義
475 夜 ダニエル・ベル資本主義の文化的矛盾
503 夜 ヴェルナー・ゾンバルト恋愛と贅沢と資本主義
789 夜 カール・マルクス経済学・哲学草稿
1108 夜 ダニエル・ヤーギン&ジョゼフ・スタニスロー市場対国家
1115 夜 ピエール・ブルデュー資本主義のハビトゥス
1126 夜 スタン・デイビス&クリストファー・マイヤーインターネット資本論
1275 夜 ロバート・B・ライシュ暴走する資本主義
1285 夜 中谷巌資本主義はなぜ自壊したのか
1331 夜 ナシーム・ニコラス・タレブブラック・スワン
1332 夜 ジョージ・ソロスグローバル資本主義の危機
1373 夜 ロバート・スキデルスキーなにがケインズを復活させたのか?
1641 夜 宇沢弘文人間の経済
1649 夜 カウシック・スンター・ラジャンバイオ・キャピタル

 

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代替するイコンの謎

“貨幣”の謎は、あらゆる憶測を呼び、哲学され、さまざまな物語を生んできた。
交換価値としての貨幣はもちろん、象徴としての貨幣、空間を形成する貨幣、
意味を有する貨幣、さらにはミヒャエル・エンデの『モモ』に暗示された
貨幣の隠喩としての時間や、今日の地域通貨や自由通貨をめぐる議論にも迫る。


1370夜 今村仁司『貨幣とは何だろうか』

それなら貨幣にはどこか「死の観念」を引きずっているところがあると見ることもできるはずなのだ。

No著者書名?
1156 夜 マーク・シェル芸術と貨幣
1368 夜 ジョナサン・ウィリアムズ図説 お金の歴史全書
1369 夜 ゲオルク・ジンメル貨幣の哲学
1370 夜 今村仁司貨幣とは何だろうか
1371 夜 吉沢英成貨幣と象徴
1372 夜 ジョン・メイナード・ケインズ貨幣論
1374 夜 ハンス・クリストフ・ビンスヴァンガー金と魔術
1375 夜 仲正昌樹貨幣空間
1376 夜 島田雅彦悪貨
1377 夜 ミヒャエル・エンデモモ
1378 夜 河邑厚徳+グループ現代エンデの遺言
1380 夜 室田武地域・並行通貨の経済学
1381 夜 小林正宏・中林伸一通貨で読み解く世界経済
1382 夜 ジェイムズ・バカンマネーの意味論
1383 夜 ベルナルド・リエターマネー
1384 夜 白川昌生美術、市場、地域通貨をめぐって

 

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大いなる枠組と新しい自由

いまやグローバリズムの限界と弊害がさまざまな角度から指摘されるようになった。
とめどない資本の拡張原理が支配する現代で、新たなシステムの構築は可能か。
「新自由主義」の動向を批判するデヴィッド・ハーヴェイ、
フラット化の不可思議を問うトーマス・フリードマンらの著作から、
いまを乗り越えるためのヒントを探る。


1356夜 デヴィッド・ハーヴェイ『新自由主義』

ハーヴェイは企業国家主義というものがいかにアメリカを構造矛盾に追いこんでいくか、それが金融市場主義の姿をとるのはまだまだ病巣の一部であろうことを喝破した。

No著者書名?
1354 夜 大田英明IMF
1356 夜 デヴィッド・ハーヴェイ新自由主義
1357 夜 ジョン・グレイグローバリズムという妄想
1358 夜 マンフレッド・スティーガーグローバリゼーション
1359 夜 トーマス・フリードマンフラット化する世界
1386 夜 山口二郎 編ポスト新自由主義
1387 夜 ミシェル・ボー大反転する世界
1388 夜 鈴木謙介〈反転〉するグローバリゼーション
1389 夜 ジェームズ・ミッテルマンオルター・グローバリゼーション
1560 夜 カレン・フェラン申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。
1701 夜 スーザン・ストラッサー欲望を生み出す社会

 

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東洋モデルが導く未来

かつて世界経済の中心はアジア・オリエントにあった。大著『リオリエント』や
『ヨーロッパ覇権以前』をはじめ、イスラム経済、
ガンディーの経済学、互助システムに優れた江戸の市場経済など、
グローバルスタンダードにはない方法に富んだアジアの
経済観を紹介する。「世界システム」を超克するオリエント経済論の序章。


1394夜 アンドレ・グンダー・フランク『リオリエント』

どう見ても、世界経済は長期にわたってアジア・オリエントに基盤をおいていたのである。ジェノヴァもヴェネチアもオランダもポルトガルも、その経済成長の基盤はアジアにあった。コロンブスが行きたかったところも“黄金のアジア”だったのである。

No著者書名?
305 夜 ムハンマド・バーキルッ=サドルイスラーム経済論
807 夜 石田梅岩都鄙問答
1113 夜 岡崎哲二江戸の市場経済
1128 夜 三谷一馬江戸商売図絵
1393 夜 アジット・K・ダースグプタガンディーの経済学
1394 夜 アンドレ・グンダー・フランクリオリエント
1395 夜 加藤博イスラム経済論

 

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測れるものと先取るもの

リスクヘッジが求められ、コンプライアンスばかりが定着していく現代。
リスクとオプションの関係を編集する手立て、
積極的なリスクテイクを起こしていく姿勢、
あるいは不合理を予測する心構えとは。『たまたま』から『リスクの正体!』まで。
松岡正剛がリスクと向き合うための著作を踏破する。


1330夜 レナード・ムロディナウ『たまたま』

賭博と借金とゲームは、人間文化の歴史とともにはじまる。みんな、不確かなことが大好きなのだ。

No著者書名?
1330 夜 レナード・ムロディナウたまたま
1333 夜 土方透 / アルミン・ナセヒリスク
1334 夜 イアン・ハッキング偶然を飼いならす
1335 夜 木田元偶然性と運命
1340 夜 田渕直也確率論的思考
1341 夜 ジョン・A・パウロス確率で言えば
1342 夜 リカルド・レボネトなぜ金融リスク管理はうまくいかないのか
1343 夜 ダン・アリエリー予想どおりに不合理
1345 夜 中谷内一也リスクのモノサシ
1346 夜 山口浩リスクの正体!
1347 夜 山口節郎現代社会のゆらぎとリスク
1348 夜 小松丈晃リスク論のルーマン

 

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マネーの背後に見えるもの

数歩先の経済モデルを提唱する論客を集結。ボランタリー経済から、
マネーの意味論、ニコラス・ルーマンの社会システム論まで。ポストモダンへの
懐疑から資本主義に切り込んだカリニコスから、ポストコンピュータ時代の
ベンチャーキャピタリスト原丈人まで。世界経済の未来学に目を向ける。


1125夜 金子郁容『ボランティア』

自分がうけたバルネラビリティという鍵がどこかの情報の「窓」をあけ、ネットワークに空いた「席」にやってくるものを劇的に迎えるのだ。

No著者書名?
436 夜 イヴァン・イリイチシャドウ・ワーク
554 夜 金井壽宏ニューウェーブ・マネジメント
1125 夜 金子郁容ボランティア
1349 夜 ニクラス・ルーマン社会システム理論
1350 夜 リチャード・ローティ偶然性・アイロニー・連帯
1351 夜 ノルベルト・ボルツ意味に餓える社会
1353 夜 金子勝反経済学
1355 夜 エマニュエル・トッド経済幻想
1385 夜 クリスティアン・マラッツィ資本と言語
1390 夜 パオロ・ヴィルノポストフォーディズムの資本主義
1391 夜 アレックス・カリニコスアンチ資本主義宣言
1392 夜 原丈人新しい資本主義
1478 夜 稲葉陽二編ソーシャル・キャピタルの潜在力
1490 夜 キャサリン・ハキムエロティック・キャピタル
1539 夜 ニコ・メレビッグの終焉
1765 夜 シャルル・ド・ブロスフェティシュ諸神の崇拝
1766 夜 ブリュノ・ラトゥール近代の〈物神事実〉崇拝について

 

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