新たな経済システムを考える野心こそ、世界史を動かす原動力となってきた。
交換と欲望をめぐる無限の試行錯誤としてのエコノミクスを探る交貨篇。
今日の資本主義はなぜ行き詰まりを見せているのか、
人類にとっての貨幣とは何を表徴しているのか、
グローバリズムが見落としているものとは何か、
われわれはリスクとオプションをどのように編集していくべきか。
文系の知と理系の知をまたぎ、
洋の東西の思想を超えたメタな視点から来るべき未来像を導く。
世界経済の制度化の歴史から、史的システムとしての資本主義の考察まで。
円の誕生、アングロサクソン的発想と基準、グローバリゼーションの起源と
拡張の過程、1985年の大転換などをめぐりつつ、物質文明の細部に入りながら、
マネーシステムの成立と資本主義の形成を振り返る。
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「神の見えざる手」が支配する市場、それが拡大し形成された
今日の大企業を中心にした市場社会。アナール学派によるマーケットの考古学から
はじまり、オークションの社会史、“偶然”に左右されるカジノ資本主義、
ビル・ゲイツの面接試験まで、生産と消費と売買にかかわる諸テーマを探る。
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読書も文化ならば、企業も文化。コーヒーハウスからはじまった政党ジャーナリズム、
“目利き”による価値の基準が育まれていったヨーロッパと江戸のサロン文化、
巨大な資本力で文化活動の主体を担ってきた財閥まで、
現在の企業モデルが確立される前の”共=コモン”の原像をたどる。
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資本主義の限界を乗り越えようとしたマルクス、
欲望と恋愛から資本を捉えたゾンバルト。これらの思想を基調音として、
資本のシステムをめぐる考察は多様に展開する。D∙ベル『資本主義の文化的矛盾』、
P∙ブルデュー『資本主義のハビトゥス』、R∙B∙ライシュ『暴走する資本主義』など、
文化と資本にかかわる代表的著作をひもとく。
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“貨幣”の謎は、あらゆる憶測を呼び、哲学され、さまざまな物語を生んできた。
交換価値としての貨幣はもちろん、象徴としての貨幣、空間を形成する貨幣、
意味を有する貨幣、さらにはミヒャエル・エンデの『モモ』に暗示された
貨幣の隠喩としての時間や、今日の地域通貨や自由通貨をめぐる議論にも迫る。
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いまやグローバリズムの限界と弊害がさまざまな角度から指摘されるようになった。
とめどない資本の拡張原理が支配する現代で、新たなシステムの構築は可能か。
「新自由主義」の動向を批判するデヴィッド・ハーヴェイ、
フラット化の不可思議を問うトーマス・フリードマンらの著作から、
いまを乗り越えるためのヒントを探る。
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かつて世界経済の中心はアジア・オリエントにあった。大著『リオリエント』や
『ヨーロッパ覇権以前』をはじめ、イスラム経済、
ガンディーの経済学、互助システムに優れた江戸の市場経済など、
グローバルスタンダードにはない方法に富んだアジアの
経済観を紹介する。「世界システム」を超克するオリエント経済論の序章。
No | 著者 | 書名 | ? |
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305 夜 | ムハンマド・バーキルッ=サドル | イスラーム経済論 | |
807 夜 | 石田梅岩 | 都鄙問答 | |
1113 夜 | 岡崎哲二 | 江戸の市場経済 | |
1128 夜 | 三谷一馬 | 江戸商売図絵 | |
1393 夜 | アジット・K・ダースグプタ | ガンディーの経済学 | |
1394 夜 | アンドレ・グンダー・フランク | リオリエント | |
1395 夜 | 加藤博 | イスラム経済論 |
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リスクヘッジが求められ、コンプライアンスばかりが定着していく現代。
リスクとオプションの関係を編集する手立て、
積極的なリスクテイクを起こしていく姿勢、
あるいは不合理を予測する心構えとは。『たまたま』から『リスクの正体!』まで。
松岡正剛がリスクと向き合うための著作を踏破する。
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数歩先の経済モデルを提唱する論客を集結。ボランタリー経済から、
マネーの意味論、ニコラス・ルーマンの社会システム論まで。ポストモダンへの
懐疑から資本主義に切り込んだカリニコスから、ポストコンピュータ時代の
ベンチャーキャピタリスト原丈人まで。世界経済の未来学に目を向ける。
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