千夜千冊エディション

方法文学「世界名作選Ⅱ」

前口上

近代の作家や詩人たちの咆哮が二十世紀を用意した。
悪の華を装って、文明の隘路を暴き、街区の光景を抉った。
その方法文学の実験室には、欲望と戦争と性と不条理が
あからさまな恰好のまま爛れ落ちていた。
だったら、もうナジャやゴドーを待たなくていいのだろうか。
次の百年の孤独には、誰が立ち会えばいいのか。
(前口上・松岡正剛)

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『物語の函』(世界名作選Ⅰ)につづき、近現代の闇と矛盾を突き上げるヨーロッパとアメリカの“問題作”が勢ぞろい。物語の様式や構造そのものを問い直し、方法意識がどのように言葉の内外を出入りしスタイル化されたのかを説く、存在学的文学案内。松岡が偏愛する作家たちの強烈な個性と生きざまにも圧倒される。口絵写真は、『裸のランチ』のうえで夢を見る作家の村田沙耶香さん。

第1章 近代の咆哮

ホーソーン『緋文字』、メルヴィル『白鯨』、ネルヴァル『オーレリア』、ボードレール『悪の華』、ランボオ『イリュミナシオン』、ユイスマンス『さかしま』、リラダン『未来のイヴ』、ヘンリー・ジェイムズ『ねじの回転』、コンラッド『闇の奥』。文明の奥の闇を見通した越境者たちが産み出した、文学という華と病。

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第2章 作家たちの方法

カフカ『城』、ジャリ『超男性』、ジッド『狭き門』、ヴァレリー『テスト氏』、リルケ『マルテの手記』、ジョイス『ダブリンの人びと』、モーム『月と六ペンス』、フォースター『インドへの道』、ウルフ『ダロウェイ夫人』。存在よりも不在を、意識よりも無意識を、愛よりも代償を、リアルよりもエピファニーを描いた作家たち。

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第3章 欲望と事件

モーリアック『テレーズ・デスケルウ』、ロレンス『チャタレイ夫人の恋人』、ブルトン『ナジャ』、ハメット『マルタの鷹』、フォークナー『サンクチュアリ』、ミラー『北回帰線』、ヘミングウェイ『キリマンジャロの雪』、デュ・モーリア『レベッカ』、チャンドラー『さらば愛しき女よ』。男と女と、戦慄と恐怖があればいい。

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第4章 奥の疼き

ボリス・ヴィアン、カポーティ、ポール・ボウルズ、サリンジャー、ベケット、カート・ヴォネガット、ギンズバーグ、ロレンス・ダレル、ロブグリエ、バロウズ、ピンチョン、ブコウスキー、ガルシア=マルケス。ジャジーでフラジャイルで、ニヒルでヒップでクィアな20世紀のカリスマたちの文学作法。

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『方法文学「世界名作選Ⅱ」』

第3章 欲望と事件

第4章 奥の疼き