2018年5⽉に刊⾏が始まった、⽂庫版「千夜千冊エディション」。
⼀夜⼀冊で綴られてきた千夜千冊を、松岡ならではの切り⼝と意外な取り合わせで再構成。
新たな⽂庫スタイルの確⽴をめざし、表紙から⼝絵、とびら、「追伸」までエディトリアルな実験を展開中。
数学的
2024.03.25
シリーズ30冊目を飾るテーマは、松岡が子どものころから憧れと親しみをもち、編集工学を組み立てるときの大事な柱となった「数学」。編集構成にあたり、数学やカオス論にちなむ本がいくつも取り上げられている。松岡の数学的精神があますことなく発揮された貴重な一冊である。
性の境界
2023.09.25
男と女、性とジェンダー、LGBTQ+をめぐる悩ましくも香しい諸問題を、生命のいとなみから文明文化のたくらみまでを通貫しながら自在に解きほぐす、待望の一冊。巻頭はドラァグ・クイーンのドリアン・ロロブリジーダさんの艶姿、帯には美輪明宏さんの「いよいよね」のメッセージ。
昭和の作家力
2023.04.25
『日本的文芸術』『源氏と漱石』につづく日本文学篇第三弾。戦争と敗戦という未曽有の体験を経た昭和日本の姿をあぶりだす。萩原朔太郎・中原中也といった詩人から江戸川乱歩・澁澤龍彦らシュール不思議作家、『大菩薩峠』などのヒーローものから『細川ガラシャ夫人』などの歴史女性もの、さらには井上ひさし・野坂昭如・高村薫などセイゴオがこよなく愛する作家たちと作品が取り上げられている。
源氏と漱石
2023.02.25
『日本的文芸術』に続く日本文学第二弾。千夜千冊史上最長の約10万字というテキストとなった大長編『源氏物語』と、漱石をはじめ鷗外・露伴・藤村などの明治の文豪たちの千夜が一堂に会するユニークなエディション。日本という方法をめぐって、『ことば漬』『芸と道』『面影日本』『日本的文芸術』とも呼応する一冊となっている。
戒・浄土・禅
2022.11.25
『仏教の源流』に次ぐ仏教シリーズ第二弾。日本仏教に関連する千夜千冊ばかりを集めて編集した「ぼくの編集思想にとって最も挑戦しがいのある課題に充ちた」一冊である。日本仏教の潮流を俯瞰的に案内する第一章から、今日につながる日本仏教の位置づけや可能性を示唆する最終章へ、コンパクトな文庫本ながら日本仏教の巨きな見取り図を提示している。
読書の裏側
2022.07.25
節目となる25冊目は、千夜千冊ワールドの“本丸”ともいえる一冊。本も行間も自在に裏読みできる目利きや先達たちの“読腕ぶり”とともに、内外の鬼才編集者やカリスマ書店主の剛腕、またセイゴオも瞠目する痛快読書ナビゲーターたちの辣腕が鎬を削り合うようにひしめく、筋金入りの本好きのための構成になっている。
電子の社会
2022.04.25
千夜千冊最初期からつねに松岡が目配りしてきた“デジタルズ”の動向を凝縮。20世紀後半から加速するコンピュータサイエンスに「ちょっと待てよ」の気分を込めて、「千夜千冊」で採り上げてきたITやネット社会やサイボーグや人工知能に関する書籍を選り抜き展覧する一冊。
日本的文芸術
2022.01.25
千夜千冊が取り上げてきた古今の日本の文芸を、松岡ならではの方法的観点で構成。「代わり」「虚実皮膜」「はぐれた私」「官能」をキーワードに、紀貫之、松尾芭蕉、近松門左衛門、泉鏡花、与謝野晶子、川端康成、吉本ばなな、村田沙耶香などの日本文学作家の作品を自由自在に縫い合わせていく。
全然アート
2021.10.25
千夜千冊が扱ってきた古今東西のアーティストのなかから、とりわけ松岡が触発され、贔屓にしてきた大胆無敵の異能者たちが勢ぞろい。未然のアートから、忽然アート、慄然アート、艶然アートまで、松岡ならではのキュレーションによって、美術が発見し営んできた思考と技術の方法論の数々を繙いていく。
資本主義問題
2021.07.25
「われわれはいつから資本主義の船に乗ったままなのか、いつになったら資本主義の船から降りられるのか」という問いを経糸にしながら、貨幣とマネーの意味論、帳簿やオークションや市場や株式会社の変遷史、20世紀から21世紀へと君臨し続けてきた経済学、グローバリズムと自由資本主義がもたらす危機などを横糸に編み込んだ充実の一冊。
仏教の源流
2021.04.25
二十代より古代インド哲学や仏教経典や禅に親しんで、『空海の夢』『法然の編集力』などの著書もある松岡は、「千夜千冊」においても多くの仏教関連書を取り上げてきた。本書は、そのなかからインドの原始仏教から中国の漢訳仏教までを、エディション仏教篇第一弾として収めたもの。一人のブッダの教えから無数のブッダを生み出した東洋知の融通無碍を存分に味わえる一冊となった。
サブカルズ
2021.01.25
「サブカルズ」はサブカルチャー、ポップカルチャー、ローカルチャー、カウンターカルチャーなどのアメリカ発の用語を松岡流に換骨奪胎するための造語。アメリカが二十世紀初頭から産み出した欲望消費社会の動向とともにヒップ・クール・ポップの発生と変容を俯瞰し、それらが戦後日本に移植され大衆文化のなかで変形されながら、「おたく」「萌え」を増殖させるに至った流れを追う。
方法文学「世界名作選Ⅱ」
2020.10.25
『物語の函』(世界名作選Ⅰ)につづき、近現代の闇と矛盾を突き上げるヨーロッパとアメリカの“問題作”が勢ぞろい。物語の様式や構造そのものを問い直し、方法意識がどのように言葉の内外を出入りしスタイル化されたのかを説く、存在学的文学案内。松岡が偏愛する作家たちの強烈な個性と生きざまにも圧倒される。口絵写真は、『裸のランチ』のうえで夢を見る作家の村田沙耶香さん。
物語の函世界名作選Ⅰ
2020.08.25
世界文学の母型から人間の不可解を描いた実験的小説まで、名だたる古典的物語を、ほぼ時代順に、濃密に案内する。「エディション」として再編集するにあたり、ストーリー解説や、物語作家たちのプロフィールを大幅に加筆、充実させた。ダンサーの田中泯がドン・キホーテをまとった撮りおろしの口絵も必見。近現代の小説は『方法文学』(世界名作選Ⅱ)に収録。
宇宙と素粒子
2020.06.25
松岡が50年以上にわたって親しんできた科学書のなかから、極大の宇宙と極小の素粒子をめぐる代表的な本を揃え、俯瞰しやすいように編集した。ガリレオやケプラーの古典的宇宙論から、熱力学とエントロピー、137億年の宇宙史、相対性理論、インフレーション理論仮説、ダークマター仮説まで、「サイエンスの見方」を説きつつ「見方のサイエンス」の可能性までを示唆する。
大アジア
2020.04.25
東アジアの葛藤と共鳴は、近代でどう起爆し挫折したのか。アジアと日本の関係史の変転を追いつつ、西洋型の歴史観が歪めてきたアジア観を書き換える方法を探る。さらに、頭山満、宮崎滔天、杉山茂丸、権藤成卿といった破格な「アジア主義者」や、金玉均、孫文、ガンジー、二人のボース、スカルノなど、アジアにおいて革命や独立を志した人々の生きざまにも迫る。
心とトラウマ
2020.02.25
「自分」と「自分の中の別人」の両方を、また「脳」と「心」の両方を追いかけた数々の名著を松岡独自の読み方でつないだ一冊。意識や精神はどこにあるのか。脳と心は別ものなのか。哲学も脳科学も心理学もいまだ解きえていないこの難問に切りこみつつ、「うつ」や「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」や「統合失調症」や「ひきこもり」など、いま誰もが切実に気になる精神医学的なテーマを総ざらい。
編集力
2019.12.25
「すべてのプロセスに編集がある」をモットーにしてきた松岡が満を持してエディションした。マラルメ、ベンヤミン、カイヨワ、ポランニー、スタフォードをはじめとした編集的先達が多数登場する「本気本格の一冊」。編集工学の体系化に没頭していったプロセスや編集哲学を構築する上で参考になった格別な思想や技法の紹介、認知科学の案内やイシス編集学校で試みたことにも言及している。
観念と革命西の世界観Ⅱ
2019.10.25
世界のおおもとを追憶するか、それとも変革に導くか。フィヒテ、ヘーゲル、ショーペンハウアー、ニーチェ、フッサール、ハイデガーなどのドイツ哲学を中心に、マルクス、レーニン、トロツキーらの革命論、ベルクソン、サルトル、カミュ、レヴィ=ストロースのフランス思想を織り成した。
神と理性西の世界観Ⅰ
2019.08.25
ヨーロッパが神と理性によって世界を解釈した理由を追って、プラトンとアリストテレスの構想が、キリスト教によるシナリオが、中世の伝承力と排除力の意味が、ホッブズらの国家理性が、案内される。一方、スピノザやライプニッツやヴィーコの知的取り組みの深みと意義、ルソーらの啓蒙思想家たちの奔放な発想が、それぞれ追跡される。
ことば漬
2019.06.25
「エディトリアリティ」を追求しながら苛烈な「ことば漬」の日々を疾駆してきた松岡が、折々に千夜千冊してきた言葉感覚の本たちを自在に組み合わせ、斬新な味付けでエディション化してみせた。「言葉と接するにはときどきリロケーションをさせる」「惚れた言葉にはジャケットを着せる」「母国語に夢中になる」「未知の分野の言葉づかいを覗いておく」という深甚な志操が込められている。
芸と道
2019.04.25
世阿弥の稽古哲学から三味線名人の芸談まで、江戸が胸詰まらせた新内から20世紀の新日本音楽まで、寄席芸人の至芸・粋芸から喜劇の王様・殿様まで。京都の旦那衆だった父から受け継いだ芸道数寄の精神を発揮し、「これでできなきゃ日本は闇よ」と啖呵を切りながら、松岡が格別に贔屓にしてきた名人たちを揃えて見せる、切なくも華やかな一冊。
感ビジネス
2019.02.25
編集工学者として多種多様な企業人たちと親交を深めてきた松岡は、千夜千冊においても内外の経営者や創業者にまつわる本をさかんに取り上げてきた。それらの本に、2009年から2011年まで集中的に自由資本主義や経済学に関する本をとりあげた「連環篇」のなかから選りすぐった本を交えて、グローバリズムのなかで揺らぐ日本と世界のビジネス観を鋭く切り取って見せた。
理科の教室
2018.12.25
千夜千冊は中谷宇吉郎『雪』を第一夜としてスタートし、理科少年だった松岡のセンス・オブ・ワンダーを明かす本をたくさんとりあげきた。ときに憧れの科学者たちの黒板授業を再現するように、ときに鉱物や植物の構造に分け入るように、またペンギンやネコやクラゲといった生きものたちの生態を愛おしむように。愛すべきリケオ松岡の「理科する」気分と手際が詰められた、珠玉の一冊。
面影日本
2018.11.25
「面影」とは、日本人のイマジネーションにはたらきかける日本文化の古層のこと。日本人の表現やコミュニケーションは、はかなくヴァーチャルな面影を動かしつづけることで成立してきた。無常や数寄の感覚がそこから生まれ、幽玄や冷えさびなどの極北の美意識にさえ結晶化していった。「日本という方法」を提唱しつづける松岡の日本語りを堪能できる千夜千冊によって構成。
少年の憂鬱
2018.10.25
大人たちがかつて夢中になった名作の数々から、少年の香ばしい苦みを抽出し結晶化した一冊。悪だくみの種を内に育て、ときに無謀な冒険へと繰り出す絶対少年たち。“つもり”を憧憬し妄想にふけながらも、胸中には瑞々しい“傷”を抱えていた遠い記憶。石川啄木、野口雨情の哀切や、少年セイゴオの愉快を交え、大人たちが失なってしまった「幼ごころ」を追慕する。
情報生命
2018.09.25
「複雑な科学とパンクな想像力」がまざる1冊。バラードのSFから入ってベイトソンに抜け、シュレディンガー、ドーキンス、清水博、ケアンズ・スミスの生命情報論を通ると、非線形科学と複雑系の議論が待っているという構成。最終章ではサイバーパンクの唸りのなか、ティモシー・リアリーの神経政治論、ディックの『ヴァリス』、ハキム・ベイのゾーン宣言が鳴り響く。
文明の奥と底
2018.08.25
人類が築き上げてきた文明が、いかに矛盾を隠蔽し、殺戮と強奪を繰り返してきたのかを問う、乾坤一擲の一冊。文明の始原と変奏の2つの視野が交差するように、選りすぐりの「千夜千冊」が並べられた。ユダヤの民がモーセの登場以来抱えるトラウマとは何か、21世紀に“文明の衝突”は起こりえるのか。長大な人類史をかけめぐり、文明の「大きな嘘」を暴く。
デザイン知
2018.05.25
「デザインとは“脱しるし”だ」というキーコンセプトが本書に通底している。ユクスキュルの「環世界」や佐々木正人の「アフォーダンス」といった知覚パターンの秘密をさぐるサイエンスの見方を入れつつ、杉浦康平、石岡瑛子、ブルーノ・ムナーリ、川崎和男といった松岡が憧れ、影響を受けてきた多彩なクリエイターたちの表象と意匠を紹介する。
本から本へ
2018.05.25
古今のビブリオマニアの書物フェチぶりと、松岡正剛の「編集読み」を堪能させる記念すべきエディション第1弾。「本と交際しなさい」という極意が26冊の本をめぐりながら披瀝される。道元、パスカル、馬琴、バルザック、ポオを相手取って多様な読みを展開し、東西のライブラリアンや愛書家の読書技法を渉猟する。