千夜千冊エディション

資本主義問題

前口上

空気や水じゃあるまいに、貨幣は言語のようになくならないし、
市場はパンが溢れて、サーカスのように賑やかだ。
世界が資本主義に浸っているままだなんて!
けれども為替が何か作ったか? 銀行が何の役に立っている?
ファウスト博士は誑かされたのだ。
勝ち組がいばるのも、経済学がリクツ言うのもシャラクせい。

「われわれはいつから資本主義の船に乗ったままなのか、いつになったら資本主義の船から降りられるのか」という問いを経糸にしながら、貨幣とマネーの意味論、帳簿やオークションや市場や株式会社の変遷史、20世紀から21世紀へと君臨し続けてきた経済学、グローバリズムと自由資本主義がもたらす危機などを横糸に編み込んだ充実の一冊。

第1章 マネーの力

マネーとは一体なんなのか。なぜマネーは自分自身を増やすのか。なぜ銀行や債券や保険がマネーの代行をするのか。ゲーテはファウスト博士に託して、金の魔術的本質を暴き、ジンメルは貨幣の無性格性が人間の欲望を駆り立てることを見抜いた。人間とマネーの悪魔的関係は、断ち切れるのか。

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第2章 資本主義の歯車

資本主義の基幹エンジンとなった仕組みの成立をたどる章。会計世界をつくりあげた複式簿記の登場、古代から共同体と共にあった市場の歴史、資本主義が生み出した株式会社という化け物のルーツに分け入っていく。オークションは所有や富がどのように発生したかの根本秘密を握っている。

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第3章 君臨する経済学

ハイエクが自由主義と個人主義の旗を掲げ、フリードマンが新自由主義思想という妖怪を一人で仕立てた。しかしその結末がリーマンショックだとわかると、ケインズの復活が叫ばれはじめた。経済学はただ混乱しているだけなのか。間宮陽介の千夜が、アダム・スミスからはじまる市場原理主義の遍歴を案内している。

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第4章 グローバル資本主義の蛇行

グローバル資本主義の限界をあらゆる角度から問題提起する。ストレンジは制御不能なマッドマネーに警鐘を鳴らし、投資家のソロスは資本主義の“合理性”には、必ずや「ゆらぎ」「誤謬」が巣くっていることを見抜いた。世界を反転させるのはマルチチュードか、脱構築か、マルクスの再来か。

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『資本主義問題』

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