千夜千冊エディション

編集力

前口上

学術の殿堂を白昼に脱走して、芸術の幕舎を夜陰に尋ね、
「連想と類似」を野営の友とすれば、ナナメに走ってパサージュに遊ぶ。
仕事は「コードとモード」の組み換えだ。それが編集です。
古今の「推断と仮説」に目を凝らし、東西の「擬装と模倣」に学んで、
なお誰も見たことがない未生の模様をつくっていく。
いと バックドロップも関節技も厭わない。それが編集力なのです。
(前口上・松岡正剛)

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「すべてのプロセスに編集がある」をモットーにしてきた松岡が満を持してエディションした。マラルメ、ベンヤミン、カイヨワ、ポランニー、スタフォードをはじめとした編集的先達が多数登場する「本気本格の一冊」。編集工学の体系化に没頭していったプロセスや編集哲学を構築する上で参考になった格別な思想や技法の紹介、認知科学の案内やイシス編集学校で試みたことにも言及している。

第1章 意味と情報は感染する

現代思想の担い手の編集力がいかに方法的か、ポストモダン思想の見方から離れて、敷居をまたぐ編集、対角線を斜めに折る編集、エノンセによる編集、テキスト多様性による編集、スタンツェを動かす編集、アナモルフィック・リーディングによる編集を思う存分つなげた。

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第2章 類似を求めて

中村雄二郎の共通感覚談義を下敷きに、ポランニーの方法知、エドワード・ホールの「外分泌学」としてのプロクセミックス、ギブソンが提案したアフォーダンスの力、タルドの模倣法則、それに工学的モデリングの手法と認知科学の類似を活用したアプローチを組み合わせた。なかでポランニーは、「ダイナモ・オブジェクティブ・カップリング」(動的対象結合)がわれわれに「不意の確証」をうながし、想像力と創造力をもたらすと提唱した。

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第3章 連想、推理、アブダクション

山下主一郎『イメージ連想の文化史』とバーバラ・スタフォード『ヴィジュアル・アナロジー』で連想の系譜をたどり、文字通り怪物チャールズ・パースの「アブダクション」の骨法を解読する3夜を盛り込む。最後の『インダクション』で、潜在するアナロジーを見いだす鍵となる「準同型」「擬同型」を解説する。

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第4章 ハイパーテキストと編集工学

ヴァネヴァー・ブッシュやアラン・ケイやテッド・ネルソン以降の電子編集時代の「新・人文学」のありかたを問うた。その前提にハンス・ブルーメンベルクの『世界の読解可能性』がある。「世界は本である」「なぜなら世界はメタフォリカル・リーディングでしか読めないからだ」と世界読書の秘密を明かした一冊。最後にキエラン・イーガンの卓抜の学習論である『想像力を触発する教育』。

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『編集力』