千夜千冊エディション

物語の函世界名作選Ⅰ

前口上

オデュッセウスとリア王の「負」と「裂け目」。
ドン・キホーテとカラマーゾフの兄弟の計画。
物語の函には「意外」と「以外」と「遺骸」が詰まっている。
モル・フランダーズとマノン・レスコーとカルメンの「偏愛」と「邪険」。
古来、名作は力と挫折、愛と罪、希望と裏切りを書いてきた。
いったい、何を付け加えれば気がすむというのか。
(前口上・松岡正剛)

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世界文学の母型から人間の不可解を描いた実験的小説まで、名だたる古典的物語を、ほぼ時代順に、濃密に案内する。「エディション」として再編集するにあたり、ストーリー解説や、物語作家たちのプロフィールを大幅に加筆、充実させた。ダンサーの田中泯がドン・キホーテをまとった撮りおろしの口絵も必見。近現代の小説は『方法文学』(世界名作選Ⅱ)に収録。

第1章 伝説から表現へ

ホメーロス『オデュッセイアー』、ソポクレス『オイディプス王』、ダンテ『神曲』、ボッカチオ『デカメロン』、ラブレー『ガルガンチュアとパンタグリュエル』。神話や伝説のなかから物語という様式と方法を引き出して、前代未聞の悲劇や喜劇を描いてみせた作家たちとその大いなる作品を鷲掴みにする。

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第2章 物語の可逆性

チョーサー『カンタベリー物語』、シェイクスピア『リア王』、セルバンテス『ドン・キホーテ』、デフォー『モル・フランダーズ』、スウィフト『ガリヴァ旅行記』、ペロー『長靴をはいた猫』。物語こそが英語・スペイン語・フランス語をつくり、世界の裂け目と人間の宿命を提示し、近代の社会と人間を生み出した。

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第3章 女という作品

プレヴォー『マノン・レスコー』、シェリー『フランケンシュタイン』、ブロンテ『嵐が丘』、メリメ『カルメン』、フローベール『ボヴァリー夫人』、ゾラ『居酒屋』、モーパッサン『女の一生』。男たちを翻弄し社会に翻弄されていく女性たちの物語がなぜ好まれたか。なぜ女性作家たちは怪異を扱う方法を手中にできたのか。

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第4章 力と愛と罪

スタンダール『赤と黒』、ユゴー『レ・ミゼラブル』、プーシキン『スペードの女王』、ゴーゴリ『外套』、ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』、トルストイ『アンナ・カレーニナ』。時代社会を抉る「力と愛」「罪と罰」「女と男」の対比と対立を刻印し、後世の映画やドラマにも影響を与えてきた近代の問題作たち。

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『物語の函』