千夜千冊エディション

情報生命

前口上

生命は情報である。情報高分子から生体が創発した。
地球も遺伝子も、そもそもは物質で構成されているのだが、
そのどこかから生―情報系がふいに躍り出た。
だったら、まだ躍り出ていない情報生命があっても、おかしくない。
フクザツな地球生命圏の中に、いっぱいのザツが爆ぜている。
(前口上・松岡正剛)

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「複雑な科学とパンクな想像力」がまざる1冊。バラードのSFから入ってベイトソンに抜け、シュレディンガー、ドーキンス、清水博、ケアンズ・スミスの生命情報論を通ると、非線形科学と複雑系の議論が待っているという構成。最終章ではサイバーパンクの唸りのなか、ティモシー・リアリーの神経政治論、ディックの『ヴァリス』、ハキム・ベイのゾーン宣言が鳴り響く。

第1章 主上・情報・再魔術

クラーク、バラード、オールディスの秀作SFを並べ、宇宙の彼方からやってきた「情報」によって変容する地球を描きだす。ラブロックは地球を一個の生命体とみなし、ベイトソンは差異こそが情報であるとともに、生命であることを示唆した。バーマンの千夜で、自然と人間が統合された世界の再魔術化を考える。

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第2章 生命と遺伝子

「生命は負のエントロピーを食べている」と定義したシュレディンガーは必読千夜。ケアンズ=スミスの仮説は、生命がいかに「情報」を取り入れたのかの謎を解く。ドーキンスやリドレーが自由気ままな遺伝子のふるまいを、ブラックモアが文化の意伝子としてのミームの動向を仮説する。ニワトリが先か、タマゴが先か。

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第3章 創発するシステム

非線形な複雑系を相手にした科学やオートポイエーシス理論を通して、生命が創発してきたしくみを仮説する理論を本気で検討する章。ジョン・キャスティ、清水博、蔵本由紀、スチュアート・カウフマンがとびきりの推察力をもって痺れさせてくれる。非線形にものを考えるセンスを堪能する。

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第4章 サイバー・ヴェロシティ

ふたたびSF的想像力の渦中へ突入する。ティモシー・リアリーやハキム・ベイの異様なプラン、ディックやサイバーパンク・アーティストたちが提示するハイパーネットワーク、風変わりなガジェットによる汎知性の光景、意識をダウンロードする危険な実験などが次々にあらわれて、最後はダストに見舞われる。

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『情報生命』