千夜千冊エディション

文明の奥と底

前口上

西洋文明がつくったもの。モーセとユダヤ人、神とヨブの問答、
黙示録、千年王国、アンチキリスト、アーリア主義一辺倒、
それから銃器・征服・資本主義、飢餓と肥満とWTO。
でも東では黄河と長江の文明が、スキタイと匈奴が動いていた。
みんな興亡、すべて消長。文明はつらいよ、文化で遊べ。
(前口上・松岡正剛)

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人類が築き上げてきた文明が、いかに矛盾を隠蔽し、殺戮と強奪を繰り返してきたのかを問う、乾坤一擲の一冊。文明の始原と変奏の2つの視野が交差するように、選りすぐりの「千夜千冊」が並べられた。ユダヤの民がモーセの登場以来抱えるトラウマとは何か、21世紀に“文明の衝突”は起こりえるのか。長大な人類史をかけめぐり、文明の「大きな嘘」を暴く。

第1章 文明と民族のあいだ

文明の闇を衝くフロイトの問題作を先頭に据え、モーセの民として歴史に翻弄されてきたユダヤ人の巨きな謎にせまる。千年王国思想やアンチキリストを生み出した背景とは何か、エルサレムはどのような「世界」と「記憶」を抱えているのか、パレスチナ問題の変節と矛盾とは。世界の複層性のルーツがここにある。

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第2章 聖書とアーリア主義

「ヨブ記」は人間の苦しみの原点を告げ、ジラールは歴史が「犠牲」と「横取り」でできていたことを暴く。西洋が繰り返してきたアーリア神話の捏造がヒトラーの言説につながり、同時期に中国人と日本人を蔑む黄禍論が列強に振りまかれた。西洋主義にイスラム側から反論したのが、エルマンジュラとサイードだった。

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第3章 東風的記憶

東洋文明の奥には、長江の流れと遊牧民の足跡がある。近年、中国の起源を解く鍵を握るとして注目される、長江文明にに踏み込んで、大胆な仮説から新たな原中国の姿を浮き彫りにし、神話と歴史の接点を切り結ぶ。また、スキタイや匈奴といった騎馬民族たちが、いかにユーラシア文明を動かしていったのかを明らかにする。

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第4章 鏡の中の文明像

1万年前からグローバリゼーションの歯車が動いていたことをチャンダとダイアモンドが告げ、シュペングラー、トインビー、ダニエル・ベルが西洋の黄昏を早くから予告。ローレンツは文明の8つの大罪を鋭く見抜いた。はたして文明の衝突はおきるのだろうか。最後にラジ・パテルがWTOの凶行を告発する。

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『文明の奥と底』