千夜千冊エディション

大アジア

前口上

北京、ベルリン、ダブリン、イラン、ピョンチャン、ワシントン、
アフガン、ハルビン、ハノイ、上海、東京、マニラ、流れ出たらアジア。
この替え歌、今日のどんな国際ニュースにもあいそうだ。
ひるがえって、かつてのアジア主義や宮崎三兄弟の夢は語られているだろうか。
「大東亜」は忌まわしいプログラムにすぎないままなのか。
本書はいささか歴史のタブーを破って、大アジアの歌に耳を傾ける。
(前口上・松岡正剛)

画像

東アジアの葛藤と共鳴は、近代でどう起爆し挫折したのか。アジアと日本の関係史の変転を追いつつ、西洋型の歴史観が歪めてきたアジア観を書き換える方法を探る。さらに、頭山満、宮崎滔天、杉山茂丸、権藤成卿といった破格な「アジア主義者」や、金玉均、孫文、ガンジー、二人のボース、スカルノなど、アジアにおいて革命や独立を志した人々の生きざまにも迫る。

第1章 中華帝国とユーラシア

中華世界は儒教をイデオロギー化することで、巨大な華夷秩序をつくりあげた。「古代の日本と加倻」は、古代の日・中・韓の錯綜する駆け引きをうかがい知ることができる必読千夜。東アジアの社会経済のダイナミズムが、源平の争いに大きく関与していた。最後にユーラシアの視点を通して、アジアの歴史を書き換える。

画像

第2章 近代アジア主義

日本は明治維新で列強に向かい、遅れをとった近代アジアは焦った。その焦りに乗じた列強と日本が織り成した「力の関係図」がアジア主義を用意した。本章では、頭山満、宮崎滔天、杉山茂丸、権藤成卿といった破格なアジア主義者たちを並べ、それぞれが思い描いた、東洋諸国の近代的自立の構想を眺望する。

画像

第3章 大東亜・日本・大アジア

日本はなぜ単一民族神話にはまっていったのか。その一方で満州を舞台に、五族協和を謳ったユートピアをめざしたのはなぜか。石原莞爾、辻政信、甘粕正彦、東条英機というとんでもない連中が策を弄し謀略に溺れる様子を「虹色のトロツキー」が臨場感をもって描いた。『アジア英雄伝』が取りあげた近代アジアの志士たち35人が勢ぞろい。

画像

第4章 リオリエント

「原則を強いる中国」と「空気を読む日本」、「モノをストレートに見る韓国人」と「間接的にみる日本」。日中韓の比較文化論を並べて、東アジアの語り方を考える。そこには「事大主義」という厄介な問題がいまだに横たわっていた。『リオリエント』で、欧米型の世界経済史をアジアの視点で書き直す可能性を示唆。

画像