源氏と漱石
前口上
「源氏」と「漱石」をつないでみたいと思ってきた。
「もののあはれ」と「可哀想だた惚れたってことよ」である。
途中には右京大夫、西行、後鳥羽院、連歌、芭蕉、西鶴、井月たちがいて、
主人公をあからさまにしないスタイルを試みてきた。
しかし「漱石」以降、近代文学は主人公を用意して、
その「創」を描くことにした。何かの「夜明け前」だったのか。
『日本的文芸術』に続く日本文学第二弾。千夜千冊史上最長の約10万字というテキストとなった大長編『源氏物語』と、漱石をはじめ鷗外・露伴・藤村などの明治の文豪たちの千夜が一堂に会するユニークなエディション。日本という方法をめぐって、『ことば漬』『芸と道』『面影日本』『日本的文芸術』とも呼応する一冊となっている。