千夜千冊エディション

電子の社会

前口上

半導体とプログラム言語はとんでもない奴だった。
情報はことごとくデジタル化されて、ネットに引っ越した。
インターネットは自分のプロトコルさえ食べるリヴァイアサンになった。
かつてはどんな情報も知覚を伴うものだったけれど、
自立をめざす巨大な電子装置は、
そんな面倒をおかまいなしにした。
それなのに電子社会の哲学は、
まだ用意すらできていない。

千夜千冊最初期からつねにセイゴオが目配りしてきた“デジタルズ”の動向を凝縮。20世紀後半から加速してきたコンピュータサイエンスに「ちょっと待てよ」の気分を込めて、「千夜千冊」で採り上げてきたITやネット社会やサイボーグや人工知能に関する書籍を選り抜き展覧する一冊。

第1章 デジタルただいま準備中

デジタル社会は、バベッジの夢の実現だった。キットラーはメディアが新たな「認識世界」を生むと告げた。いつでもどこでも通信できる社会は、人間の何を変容させたのか。いまこそマクルーハンの予言が電子社会に突き刺さる。インターネットの背後には、巨大企業アカマイがいた。デジタルチルドレンは、過剰堆積状態のビッグデータを編集できるのか。

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第2章 サイボーグ化する

人類は、思考するマシンにユートピアの希望とディストピアの不安をみた。第二次世界大戦が生んだサイバネティックスが、電子技術の基盤となり、サイバーパンクに火をつけた。ブルックスはロボットに試行錯誤をさせ、石黒浩は自分と瓜二つのアンドロイドをつくる。ハラウェイとクラークが、人間は”生まれながらにしてサイボーグ”だったと喝破する。

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第3章 インターネット全盛

インターネットのプロトコルは、現実社会を深く貫いている。ドミニク・チェンの「プロクロニズム」は、デジタル時代の新たなシナリオになるのか。グーグル・アマゾンの思惑は加速し、「いいね」と「評判」でつくられるネット社会が出現した。現状のウェブ・ユーザビリティでは間に合わない。コモンズ・バザール・SNSの「共」の探究が、鍵をにぎる。

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第4章 文明/電子機関/人工知能

ウェブはアメリカ文明の落とし子だった。21世紀のネット社会の横着ぐあいに、VRのジャロン・ラニア―が吠える。人工知能が人間を超えるシンギュラリティの時代はやって来るのか。デジタル革命は1968年の五月運動にはじまった。「疎外された人間像の解放」に向かうはずだったホモデジタリスの社会は、どのように「i」化していったのか。

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『電子の社会』

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