
「なかに入ると、陽の指す部分は明るいが、残りは暗闇に見える。だからそれは美しい。夜が家のどこかに絶え間なく浮遊しながら入り込むとき、死者たちは死んでいない。」
《ありのままの場所》より

「踊りと音楽は動きと音との対話を成り立たせる。踊り手たちは、耳にした音楽を真似たり、表現したりはしない。音楽と会話し、音楽の裂け目にむかって踊り続ける。」
《ありのままの場所》より

「ルアッサンブラージュ、組み立て直し。沈黙から沈黙へと、断片のなかの壊れやすい実体は、スクリーンのうえで一瞬きらめき、消え、そして飛び立つ。そこで半ば名前を与えられて。」
《ルアッサンブラージュ》より

「彼らは自分たちの言語をしゃべるだけだ。他の音をきいたときには、―つまり彼らには言語と聞こえない音を聞いたときには―、こう断言して、用心深く立ち去ってしまう。〈それはそんなに深いものではない。私たちはこれまで何も聞いていはいない〉」
《ルアッサンブラージュ》より

「名づけられたものから排除された女性は、言語を女性の概念にとって浸透可能なものにすべく、たえず言語にむかって働きかけねばならない。」
『月が赤く満つる時』より

「支配的な価値体系を打ち砕くことは、たんに若干の偏見を打破することではない。むしろあらゆる合理化の回転扉をくぐりぬけ、虚構と虚構のあいだの闘いという現実を正面からみすえることが必要だ。」
『月が赤く満つる時』より

「沈黙がやがてその場を定めるのは、私と私自身のあいだ。私が自分と親しくなるのは、沈黙のなかで。それでもやはり私は、自分の問題に光を当てたいと望んでいる他の女たちに、助言を与えなければならない。」
《性はヴェト、名はナム》より

「私的なことと公的なことを、書き―直す。この2つの領域、この対立項を裏返し、ずらすこと。」
《核心を撃て》より

「女の解放? まだ冗談を言っているのだね」。
《性はヴェト、名はナム》より

「〈私の物語が美しく、長い一本の糸のように解きほぐれますように…〉、物語の始めに彼女はこう歌った。それ自身の境界の内側で、けれどもそのなかで無尽蔵に繰り出される物語。」
『女性・他者・ネイティブ』より