「松岡正剛の千夜千冊」更新情報、松岡正剛の千夜解説などコンテンツ更新のお知らせ、ブックウェアイベントや企画のご案内、松岡正剛の呟き情報・日刊セイゴオ「ひび」などをお伝えする千夜千冊PRESSは、2011年10月24日に始まりました。 現在までのアーカイブはこちらでご覧いただけます。 

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 ★千夜千冊PRESS★ vol.74 2013年5月26日
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 みなさん、こんにちは。
 千夜千冊編集部より、千夜千冊PRESS vol.74をお届けします。
 1507夜は、交貨篇『贈与論』です。

 『贈与論』の題辞はスカンディナヴィアの古代神話伝説詩『エッダ』の一節で
 はじまります。その一部を紹介してみましょう。

   友は互いに武器と衣装を贈って
   相手を喜ばせなければならない。
   誰でも自ずからそれを知っている。
   互いに贈り物をし合う友同士が
   いちばん長続きする。
   物事がうまく行くならば。

 いちばんうまく長く続く社会のありかたとは何なのか。
 『贈与論』にはじまり、日本の贈答文化もめぐりながら、
 あらたな「共」、新しいソーシャルシデザインを考える一夜となりました。
 まずは当夜案内からどうぞ。

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 ★ 千夜千冊 1507夜(2013年4月14日 更新)篇
 ★ 『贈与論』
 ★ マルセル・モース(2009)ちくま学芸文庫
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  西洋は人間を経済動物にしてしまったのではないか。
  このことに気付いたモースは、未開社会や古代社会には
  西洋が見失ってしまった本来の社会経済行為が
  きっと隠れていただろうと考えた。
  そして、そこに「贈与」と「互酬性」を保つ社会が
  長らく躍如していたことを発見した。
  ひるがえって日本には、中元・歳暮・お祝いをはじめ、
  多くの贈答文化がのこっている。
  これらはたんなる「虚礼の交換」なのか。
  それとも回復すべきソーシャルキャピタルなのか。
                          ┛

【当夜案内(千夜千冊編集部より)】

 「贈与」という言葉を聞くと、「生前贈与」や「贈与税」という用語を連想
 するのが現代人ではないだろうか。『贈与論』の著者モースは、「贈与」を
 しあう「互酬性」をもって、「われわれの社会は互酬性の上に築かれている」
 「互酬性に人類の岩盤の一つが発見される」「互酬性には現代の法と経済が
 生む問題に関するいくつかの道徳上の結論を引き出すことができるだろう」
 と語った。
 経済行為とは広範な社会的な価値の交換の一部にすぎないとし、互酬的贈与
 の習慣を宗教・法・道徳・経済・人事などの社会文化全般の“やりとり”と
 して捉えたのだ。

 贈与や互酬性の感覚はむしろ日本の社会経済史の特徴によくあてはまる。い
 までも使っている贈与関連の言葉、「お裾分け」「気前」「相当」などにも
 あらわれている。気持ちを込め、過剰になりすぎず、風土や季節の微妙な変
 化や変容の都度の価値交換が、日本では求められてきた。いまでも結納や出
 産のご祝儀、中元や歳暮、葬儀に際しての香典に残るのは、周知のことだ。

 しかし、近代日本では、これらの贈与習慣は「虚礼」であると判定され、多
 くの贈与儀礼が簡素化、略式化されてきた。社会が喪失した経済文化を、何
 かに“相当”させる新たな贈与価値のしくみが、そろそろ胚胎してくるべき、
 編集されるべきであろう。

 新たな「共」には、安田登の『ワキから見る能世界』に書かれたワキの贈与
 感覚がヒントになるはずだという。千夜千冊は最後にモースの言葉で締めら
 れている。「贈与がもたらすもの、それは存在の名誉である」。みなさんは
 どう思われるでしょうか。

     http://1000ya.isis.ne.jp/sp074

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  ◎日刊セイゴオ「ひび」◎ 2013年5月16日(木)
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  六本木ミッドタウン「未来を変えるデザイン」展で講演と
  座談(柏木博・横山禎徳)。メセナ的CSRを超えて
  「編集するソーシャルアントレプレナー」の時代へ。
 ┗──────────────────────────┛

 千夜千冊冒頭でも紹介されていた「未来を変えるデザイン」展。
 カオスという混沌からコスモスという秩序を形成をする者が
 ポリスの代表者であるという西洋のpublicの感覚に対し、
 大きな屯倉の「オオヤケ」という意である「公」と
 「公」に卑するもので、秘する恥ずべきものとしての「私」、
 そして縁側や入会地のような自己規律のデザインとしての「共」が
 対比的に冒頭で語られました。

 新たな「編集するソーシャルアントレプレナー」の登場に期待しましょう。

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  ◎日刊セイゴオ「ひび」◎ 2013年5月21日(火)
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  学匠冨澤陽一郎とは伝習座の、虎屋文庫長とは和菓子の、岩波
  とは『本の自叙伝』の、須藤憲司とは端末インターフェースの
  技能未来を語った一日。天才スドケンがやたらに冴えていた。
 ┗────────────────────────────┛

 学匠、菓匠、本匠、Web匠。代わる代わるにゴートクジISISを
 訪れた4人の「匠」たち。彼らの思いもそれぞれの活躍する場に
 あらたな「共」を立ち上げるということでもあるでしょう。

 学び、味わい、読み、つながり、そこではいったいどんな
 互酬が生まれようとしているのでしょうか。

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