ドン・タプスコット
デジタル・チルドレン
ソフトバンク社 1998
ISBN:4797305320
Don Tapscott
Growing Up Digital 1998
[訳]橋本恵・清水伸子・菊地早苗

 この人の前著の『デジタル・エコノミー』のヨミは半分あたっていた。が、半分は人を迷わせるもので、それがベストセラーになったというらしいから、おそらくはデジタル・エコノミーが儲かるものだと見て、ずいぶんの人を迷走させたのではないかとおもう。

 本書も、先読みにかけてはかなり先駆的な本になっている。データにもかなり依拠しての先読みである。前提の数字は、1965から1976年に及んだ“ベビーバスト”(出生率急落期)の世代にメディア志向がきわめて強いということ、その世代がネットジェネレーションを牽引する役割を担っていること、続く第2次ベビーブーム(アメリカのみでの現象)がこれを受けてデジタルメディア・オリエンテッドになって裾野を広げていること、などである。
 実際にもアメリカのネットジェネレーションは急激に膨張している。著者はその広範な例と発言を子供たちに取材しつつ、かれらデジタル・チルドレンが次の傾向をもつことを“発見”する。

[1]デジタル・チルドレンは選択肢を好む。
[2]かれらは機能を好む。
[3]かれらはどんな学習も支援されるものと思う。
[4]かれらはスタイルに敏感である。
[5]かれらはオーダーメイド志向である。
[6]かれらは最初の画面に数秒間しか待てない。
[7]かれらはイノベーションが大好きである。
[8]かれらの願いは完成への没頭にある。
[9]かれらは遅いのが嫌いである。
[10]かれらは懐疑的で批判的である。

 まあ、こんなところである。とくに目新しい“発見”ではないが、確信には満ちている。ようするに「デジタル・チルドレンは新しい資本だ」という結論だ。
 タプスコットのヴィジョンは「21世紀の富は知識という、かつてないほど後に自由に手に入る資産によって生み出されるだろう」という点にある。ぼくはこのことに異議を唱えないが、知識が生むものは富ではなく、想像力なのだといいかえたい。

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